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<インターネット接続法>「世紀の悪法」「サイバー捜査は憲法違反」「言論弾圧」電網庁前を1500人超が抗議デモ

戯事通信
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12月20日12時10分配信
電網庁前。全国のIT系企業を統括するNPO法人ネット自由化連絡会が中心となり1500名以上を集めた(戯事通信)
 21日の施行に先立ち「インターネット接続法断固反対」の横断幕を掲げた抗議デモにおよそ1500人以上が参加した。新宿御苑から電網庁の庁舎がある初台の電網パークシティまで約2キロを行進。警視庁機動隊員を交え2000人近くの大集団が新宿駅南口を横断した。反対する理由は参加者によって様々だが、いずれの主張にもインパクトがある。

 「新法は言論弾圧。(第一条「戸籍法に基づく氏名アクセス義務」によれば)メールや掲示板がすべて実名になって匿名での発言の機会がなくなるということは、社会的弱者が意を決して何かを告発することができなくなるということ」と話すのは中学教師のT氏。教育の現場では匿名でなければ解決できない課題が山積しているという。T氏はネット上で「いじめ相談掲示板」を運用し、子供に匿名での投稿を許してきた。ところが、新法によればアクセス者を匿名表示するサイトは<レベル3>に相当。すなわち電網三種以上のアクセス免許を持つ人間しか閲覧出来ないサイトとなる。大人でも電網三種を取得するのはごく一握り。子供がアクセスできない掲示板では意味をなさない。「(掲示板は)事実上の閉鎖ですよ。電話相談に逆戻り。納得できません。悪いことをしているわけではないのに」ネット新法最大の目的といえる匿名性の排除には以前から難色を示す有識者が多い。

 「新法では国の認可した暗号アルゴリズム以外の利用を禁止。公共ネットワーク上では暗号の研究開発まで禁じている。つまり隠し事はできないぞと脅しているわけです」と語るのは数理工学系の大学教授Y氏。暗号研究の第一人者だ。「日本国憲法は第二十一条で<通信の秘密>を規定しているが、解読できる暗号は秘密といえない。サイバー捜査は楽になるかもしれないが、立派な憲法違反。新法は私たちの生活すべてが国家権力に監視されることを覚悟しろと言っているようなもの」

 経済的な側面で反対を唱える人もいる。「政府は事実上のネット国営化で税収増を見込んでいるが、それは全く違う」と語るのは、大手IT企業の経営幹部O氏。「免許の種別ごとに訪問できるサイトを制限するため、国がすべてのサイトを審査し格付けする。申請されないサイトは悪質サイトと決めつける。これでは自由な草の根サイトづくりが阻害され、いずれネット経済そのものが縮小する」。無料ブログで会員数を増やしてきたO氏の会社。新法でブログ記事内容に対するサービスプロバイダの責任が重くなるため、無料から有料へ方針転換し会員の質を高めるべきかどうか判断を迫られているという。「自由度の高さがネットの経済を大きくしてきた。裏社会の住人を閉め出せば表のビジネスも余波を受ける。国が審査を厳しくして(無料ブログを営む)我々の責任を重くすればするほど、納める法人税が減るだけです」

 サイバー犯罪取り締まり強化の側面ばかり取り沙汰されるネット新法だが、総務省は国産ヴァーチャル3D空間<ASKQA(アスカ)>の利用を義務化することでヴァーチャル不動産などの経済効果が期待できると説明を繰り返してきた。そんな鳴り物入りのASKQAですら一部では猛反発を招いている。「道路交通法とはわけが違う。道交法は車の運転ルールにうるさいが、ドライブの行き先にまで口を出さない。特定のポータルサイトを義務化する新法はまったくナンセンス」と語るのは、大手ゲーム会社で働くプロデューサーK氏。彼が開発を手がけたネットワークゲームは携帯電話とパソコンの連携を売りにしていたが、新法に従いASKQAを介した操作を実現すると動作が重くなり、ユーザーの操作性が悪くなるという。「ゲームにとって操作性は命。客が離れていったら責任とってくれるんですかね。ASKQAは不要。何をするにも動作は重くなるし、中途半端にゲーム的要素もある。国が3Dヴァーチャル空間を仕切るのは僕らからすれば立派な営業妨害。(ゲーム業界が)何年か退行しますよ」

 深刻な雰囲気が大勢を占める中、軽い気持ちで参加する物見遊山な面々もいた。寒いからとワンカップ片手で千鳥足、ほろ酔い顔の精神科医S氏。「あのね…(しばし間)…新法が施行されたらネ、監視されている気分になる国民が増えると思うのね…(しばし間)…僕の業界ではね…『誰かに監視されている気がする』みたいなね…そういう発言は分裂症患者が示す典型的な症状なわけ。いままではそれでよかったわけよ。ところがさ…本当に国家権力がね…国民の監視を厳しくしちゃうとね…僕ら仕事が難しくなるわけよ。ね。あの人おかしいから、ってさ。診察しなきゃいけない患者が増えてさ。でも病んでないわけじゃん。で、薬を処方できるかっちゅうと、断るような連中が増えるだろ。つまりさ…その…わかるっしょ?…(小声で)保険の…点数が…問題なわけだからさ…(しばし間)…忙しくてもしょうがないわけ…精神科はさ、眠れないから睡眠薬くれっていうぐらいの軽い患者が適量いれば楽に食えるんだもん…だからまぁ…新法に反対というか…賛成してもいいけど診察の点数増やしてくれっていうか…にしても(しゃっくり)今日は寒いよね」

 教育、研究、経済、娯楽、医療……あらゆる現場から非難され、まさに四面楚歌のインターネット接続法。険しい船出に成果は期待できるのだろうか。【怪田忍】

インターネット接続法って何? - 総務省・電網庁
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